シンガポールで複数収入を持つ人の確定申告完全ガイド(YA2026)

シンガポールで複数収入を持つ人の確定申告完全ガイド(YA2026)

会社員の給与に加えてフリーランスやプラットフォーム収入、家賃収入、海外案件がある方へ。IRASが求める複数収入の一本化申告のやり方を、2026年度ルール・控除・具体例とともに解説。

2026年4月12日
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シンガポールで複数収入を持つ人の確定申告完全ガイド(YA2026)

免責事項:本記事はYA2026(2025年の所得)において複数の収入源を持つシンガポール居住者向けの一般情報であり、税務や法律のアドバイスではありません。個別事情は必ずIRAS(シンガポール内国歳入庁)または税理士に確認してください。YA2026のe-Filing締切は2026年4月18日です。

現代シンガポールのキャリアは複線が当たり前

2025年のMOM(人的資源省)調査では、居住者の約10人に1人が年間複数の収入源を持つと推計されています。会社員をしつつUpworkで副業するコピーライター、本業+GrabFoodの配達員、スペアルームを貸す大家、本業と別に役員報酬を受け取る創業者などです。IRASは複線収入自体は歓迎ですが、申告漏れには厳しく、所得税法第95条で最大200%の追徴が可能です。

同一居住者のすべての収入はForm B(自営業メイン)またはForm B1(給与メイン+その他)に集約され、1つの累進税率表、1セットの控除、1つの課税所得に通されます。

IRASが区別する主な収入区分(YA2026)

  • 給与所得:基本給、賞与、ストックオプション、手当、現物給与(多くはAIS経由で自動反映)
  • 事業・専門職所得:フリーランス、コンサルティング、コーチング、プラットフォーム収入、EC、インフルエンサー
  • 家賃収入:シンガポール物件からの賃料から固定資産税・住宅ローン利息・仲介手数料・修繕費を控除
  • 配当・利子:シンガポール源泉配当は多くが免税、海外配当の送金分は状況により課税
  • ロイヤリティ・年金・信託分配
  • シンガポールに送金された海外所得:個人は基本免税だがパートナーシップ経由は例外
  • 役員報酬:発生主義ではなく受取主義で課税

ステップ1 — 各収入を正しいセクションに

  1. Employment:AISで事前入力。IR8Aで照合。
  2. Trade, Business, Profession or Vocation:フリーランス、副業、自営。
  3. Other Income:家賃、ロイヤリティ、年金、コミッション。
  4. Reliefs:Earned Income、CPF/MediSave、Parenthood、NSman、Course Feesなど。

ステップ2 — 事業所得の集約方法

年間自営業売上合計がS$200,000未満なら2行ステートメント(売上・調整後利益)、S$200,000以上なら4行ステートメント(売上・粗利・認容経費・調整後利益)を作成。詳細はIRASの収入申告ガイド

  • プラットフォーム別ではなく、Upwork+Fiverr+Grab+直接案件を1つのP&Lに統合
  • 経費は「wholly and exclusively」で事業収入獲得のために支出されたもの
  • 資本的支出は資本的償却(原則3年定額)で処理
  • GST登録済みの場合、売上はGST抜きで計上

ステップ3 — 給与+フリーランスで注意すべき3点

  1. 給与分のCPFはAIS経由で既に控除されているため、自営としての追加任意拠出のみを別途Relief申請
  2. Earned Income Reliefの上限は給与+事業合算に対して適用。二重取りはできない
  3. 会社貸与のPCを副業で使っても、購入費は自分の支出ではないため副業経費にできない

ステップ4 — 家賃収入の申告方法

家賃収入は実費控除か、総家賃の15%みなし経費(ローン利息は別途控除)のどちらかを選択できます。多くの多収入申告者は領収書管理を省ける15%方式を選択します。

スペアルームのみ貸す場合は按分が必要。詳細はIRAS家賃収入ガイド参照。

ステップ5 — 海外収入と居住地課税

居住者個人がシンガポールに受領する海外源泉所得は第13(7A)条で原則免税ですが、パートナーシップ経由は例外。なお、シンガポール居住者がシンガポール国内で行った作業の報酬を米国クライアントから受けた場合、それは海外源泉ではなくシンガポール源泉です。誤解が多いので注意。

ステップ6 — YA2026の累進税率(居住者)

  • 最初のS$20,000:0%
  • 次のS$10,000:2%
  • 次のS$10,000:3.5%
  • 次のS$40,000:7%
  • 次のS$40,000:11.5%
  • 次のS$40,000:15%
  • 次のS$40,000:18%
  • 次のS$40,000:19%
  • 次のS$40,000:19.5%
  • 次のS$40,000:20%
  • S$320,001〜S$500,000:22%
  • S$500,001〜S$1,000,000:23%
  • S$1,000,000超:24%

公式税率はIRAS個人所得税率表に掲載。

ステップ7 — 具体例:マーケ部長+Upwork副業のPriyaさん

  • 給与:基本S$108,000+賞与S$15,000(AIS反映)
  • CPF従業員負担(既控除):S$24,000
  • Upwork副業:売上S$42,000、経費S$9,000
  • 自営業としてMediSave任意拠出:S$5,760(上限S$37,740以内)
  • HDBスペアルーム賃貸:総額S$18,000、固都税S$2,700、ローン利息S$6,000
  • 海外配当(四半期毎):S$1,200(免税)
  • 給与(CPF控除後):S$123,000
  • 事業:S$33,000
  • 家賃:18,000 − (15%×18,000=2,700) − 6,000 = S$9,300
  • 海外配当:S$0
  • 合算所得:S$165,300

控除合計:Earned Income S$1,000、CPF/MediSave S$5,760、Course Fees S$2,000、Parenthood S$4,000=合計S$12,760

  • 課税所得:S$152,540
  • 税額:約S$14,640

Priyaさんは申告前に無料所得税計算ツールで試算し、MediSaveの追加拠出で税率帯を下げられるかを検討しました。

ステップ8 — よくあるミスTOP5

  • PayNowで個人口座に入金された副業収入を申告漏れ
  • 携帯・サブスク・飲食など私的支出を副業経費計上
  • 自分も住んでいる物件の家賃経費を100%計上(按分必要)
  • 既にAISに入っているCPFを二重控除
  • 4月18日の締切に遅れ、第94条でS$200のペナルティ

5年間の記録保存

IRASは支持資料の5年保存を要求。IR8A、請求書、プラットフォーム支払明細、賃貸借契約、住宅ローン明細、控除領収書、入金の分かる通帳。紙・電子どちらでも可ですが、完全で整理され判読可能である必要があります。

複数収入ワークフローでのDenpyo活用

最大の難点は年に1度、5種のアプリ・ウォレット・メールから領収書をかき集める作業です。Denpyoなら日常で撮影・自動抽出・収入源タグ付けを行い、IRASの5年保存要件を満たす電子コピーを保管。4月には収入源別のサマリーをエクスポートして2行/4行ステートメントにそのまま転記できます。節税効果シミュレーターと組み合わせれば、追加拠出の節税インパクトも事前に確認できます。

まとめ

  • 同一居住者のすべての収入は1つの申告書・1つの累進税率表に集約
  • 給与・事業・家賃・ロイヤリティ・海外所得は集約前に各々の経費ルールを適用
  • CPFは二重取り厳禁(AIS反映済み)
  • 家賃は15%みなし経費+ローン利息がシンプル
  • 2026年4月18日までにe-Filingし、記録は5年保存
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