少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大|令和8年度改正をわかりやすく解説

少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大|令和8年度改正をわかりやすく解説

令和8年度税制改正で少額減価償却資産の特例が30万円未満から40万円未満へ拡大。対象・要件・節税効果・取得時期の注意点を、フリーランスと中小企業向けに解説します。

2026年6月29日
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少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大|令和8年度改正をわかりやすく解説
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務アドバイスではありません。少額減価償却資産の特例の適用可否や具体的な経理処理は、最新の国税庁(NTA)の情報を確認のうえ、税理士などの専門家にご相談ください。

パソコンやカメラ、業務用の機材を買ったとき、「全額をその年の経費にできたら節税になるのに」と思ったことはありませんか。フリーランスや個人事業主、中小企業の強い味方が少額減価償却資産の特例です。そしてこの特例は、令和8年度(2026年度)税制改正で対象となる取得価額が30万円未満から40万円未満へ引き上げられ、適用期限も延長されました。本記事では、何がどう変わったのか、どんな条件で使えるのか、そして節税効果を具体例で分かりやすく解説します。

少額減価償却資産の特例とは

原則として、10万円以上の備品や機材は「固定資産」として、耐用年数にわたって少しずつ経費にする減価償却が必要です。たとえば耐用年数4年のパソコンなら、買った年に全額を落とすことはできず、4年に分けて計上します。

これに対し、青色申告を行う中小企業者等(個人事業主を含む)が一定額未満の資産を取得した場合に、その取得価額の全額をその年の経費(損金)に算入できるのが少額減価償却資産の特例です(租税特別措置法第28条の2、法人は第67条の5)。買った年に一気に経費化できるため、利益が出た年の課税所得を圧縮し、所得税・住民税・国民健康保険料の負担を抑える効果があります。

令和8年度税制改正で何が変わった?

2026年(令和8年)の改正で、この特例は次のように見直されました。

  • 取得価額の上限が40万円未満に拡大:従来の「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられました。30万円台の機材も一括経費にできるようになります。
  • 適用期限を3年延長:令和8年3月31日までだった期限が、令和11年(2029年)3月31日まで延長されました。
  • 取得時期で基準が分かれる:令和8年4月1日以後に取得した資産は「40万円未満」、それより前に取得した資産は従来どおり「30万円未満」が基準です。2026年中に買ったものでも、3月以前か4月以後かで判定が変わる点に注意してください。
  • 従業員数の要件が400人以下に:常時使用する従業員数の上限が、令和8年4月1日以後の取得分について500人から400人に引き下げられました。ほとんどのフリーランス・小規模事業者には影響しませんが、人を多く雇う事業者は確認しましょう。
改正の根拠は財務省「令和8年度税制改正の大綱」および中小企業庁の解説で確認できます。

特例を使うための要件

40万円未満の一括経費化を受けるには、次の条件を満たす必要があります。

  • 青色申告を行っていること:白色申告では使えません。まだ青色申告でない方は、メリットの大きさを考えると切り替えを検討する価値があります。
  • 取得価額が40万円未満(税抜・税込は経理方式による):消費税の経理を税抜で行っているなら税抜価格、税込で行っているなら税込価格で判定します。
  • その年に取得し、事業の用に供したこと:買っただけでなく、実際に業務で使い始めることが必要です。
  • 年間の合計が300万円まで:1事業年度に特例を使える合計額は300万円が上限です。これを超える分は通常の減価償却になります。
  • 確定申告書への明細添付:青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に取得資産を記載し、摘要に「措法28の2」と付記します。

具体例で見る節税効果

動画編集を請け負うフリーランスのAさんが、2026年6月に38万円のノートパソコンを購入したとします。改正後は40万円未満なので特例の対象です。

  • 特例を使う場合:38万円を2026年分の経費に一括計上。仮に所得税・住民税の合計税率が約20%なら、約7万6,000円の節税につながります。
  • 通常の減価償却の場合:耐用年数4年で按分し、初年度は購入月数に応じた金額しか経費にできません。節税効果は数年に分散します。

同じく35万円の業務用カメラ、28万円のデスク一式なども、合計300万円の枠内なら、それぞれ取得した年に全額経費化できます。利益が大きく出た年にまとめて設備投資をすると、節税インパクトはさらに大きくなります。自分のケースでいくら税負担が軽くなるかは、節税効果シミュレーターで概算できます。

「30万円以上」の資産との使い分け

40万円以上の資産は、原則どおりの減価償却に戻ります。なお10万円以上20万円未満の資産には「一括償却資産」(3年均等償却)という別の選択肢もあります。どの方法が有利かは利益状況によって異なるため、迷ったら経費判定ツールで考え方を整理し、専門家に相談しましょう。

領収書と帳簿の管理が節税のカギ

特例を確実に使うには、取得価額・取得日・事業供用日が分かる証憑(領収書・請求書)をきちんと残すことが欠かせません。電子帳簿保存法により、電子で受け取った請求書は電子のまま保存する必要があり、紙のレシートもスキャナ保存が認められています。

Denpyoのようなツールを使えば、機材を買ったその場でレシートを撮影するだけで、日付・金額・勘定科目をAIが自動で読み取り、固定資産か少額資産かの判断材料を整理できます。撮りためた領収書を確定申告の直前にまとめて入力する手間が省け、特例の300万円枠の管理もしやすくなります。経費の取りこぼしを防ぐことが、そのまま節税につながります。

まとめ

令和8年度税制改正により、少額減価償却資産の特例は40万円未満・令和11年3月31日までに拡充されました。2026年4月1日以後に取得した30万円台の機材も一括経費にできるため、設備投資の多い事業者には大きな朗報です。青色申告・年間300万円・取得時期の3点を押さえ、領収書をこまめにデジタル化して、使える特例を確実に活用しましょう。最新の取り扱いは必ず国税庁の情報で確認してください。

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