マレーシアフリーランスの確定申告ミス12選(2026年版)
Form BEとForm Bの取り違え、期限超過、MyInvois漏れ、SST閾値……マレーシアの自営業がやりがちな12のミスと回避策をまとめました。

免責事項:本記事はマレーシアの確定申告でよくある誤りを一般情報として整理したものです。マレーシア税法(1967年所得税法、2018年売上税法、2018年サービス税法)はMyInvois、SST、2025年Gig Workers Actなど2024〜2026年に大幅改正があり、頻繁に変わります。個別助言はLHDN登録税理士またはマレーシア会計士協会会員に。最新ルールはLHDNでご確認ください。
このチェックリストの目的
マレーシアのフリーランス人口は約150〜200万人——労働者の4人に1人に近い水準です。LHDNは毎年数千件のForm Bをレビュー対象とし、誤りのパターンは概ね同じ。控除漏れで数百リンギット損する程度のものから、所得税法第112条・第113条に基づく10〜45%のペナルティを招くものまで様々です。2026年7月15日のe-filing期限を前に、フリーランスと中小事業主が陥りがちな12のミスと回避策を整理します。
1. Form Bを使うべきところでForm BEを提出
Form BEは給与所得のみの居住者用(MTD/PCB源泉徴収あり、事業所得なし)。フリーランスや事業所得を1リンギットでも得たら——Shopeeで月50リンギットでも、1社からの50,000リンギットでも——Form Bを提出します。Form BをBEで誤提出すると、事業部分が未申告扱いとなりペナルティ通知の対象です。
簡単な判定:2025年中に自分名義(雇用主名義ではなく)で1件でも請求書を発行したなら、YA2025はForm B。PwCのマレーシア個人課税管理ガイドもチェックに役立ちます。
2. e-filing期限(7月15日)を逃す
紙のForm B期限は6月30日、e-filingは7月15日。逃した場合:
- 遅延申告ペナルティ:第112条によりRM200〜RM20,000、または6カ月以下の禁錮。
- 第113条ペナルティ:不足税額の10%以上が一般的。常習性で倍率増。
自動延長はありません。7月15日はLHDNサーバが混雑するため、7月13日までに提出を。
3. すべての収入源を申告しない
LHDNは銀行明細、MyInvoisの統合請求、EPF拠出、プラットフォームデータ(Grab、Foodpanda、Shopee、TikTok Shop、Lazada)を相互照合します。Grabからの年間入金がRM45,000あるのにRM30,000と申告すれば確実に問い合わせが来ます。1リンギットも漏らさず申告し、対応する経費はすべて控除しましょう。過少申告は節約した税額を上回る代償(第113条(2)で最大45%)を招きます。
4. MyInvoisの月次統合送信を忘れる
MyInvoisの対象(Phase 2:2025年1月以降の売上RM5m〜25m、Phase 3:2026年7月1日以降のRM1m〜5m)の場合、個別e-invoiceを必要としないB2C取引について、毎月の統合e-invoice送信が必須です。「MyInvoisはB2Bだけ」と誤解しているフリーランスが多数。
MyInvoisポータル、LHDNe-Invoiceページ、DenpyoのPhase 3コンプライアンスガイド。
5. 個人的な支出を事業経費として申告
典型的な落とし穴。食料品、ジム会員、個人Netflix、家族でのPJでの食事は所得税法第33条「事業のためもっぱら必要に発生」要件を満たしません。否認されれば本税+第113条(2)ペナルティ(多くは45%超)。原則は事業経費は事業カード、私的支出は個人カード。事業のためと説明できないなら控除しないこと。
6. 資本的支出と経費的支出の混同
RM3,500のノートPCは資産であり経費ではありません。所得税法附則3に基づき資本控除として計上——機械装置の場合、初年度20%+年14%(資産種別で異なる)。初年度に全額経費化するのは誤りで監査時に修正されます。
区分が重要なのはPC、スマホ、家具、車両、買い切りソフト。Adobe、Figma、NotionなどのSaaSは経費(毎年費用化)。
7. 個人控除の取りこぼし
- ライフスタイル控除 RM2,500:書籍、ネット、運動用品、ジム、PC、スマホ、新聞。
- ネット契約:ライフスタイル控除に含まれるため二重計上禁止。
- EPF任意(i-Saraan / i-Saraan Plus):最大RM4,000控除。
- SSPN預金:子の教育預金純額で最大RM8,000。
- 本人・配偶者・子の医療保険:最大RM3,000。
- 親の医療費:最大RM8,000。
- PRS拠出:最大RM3,000。
取りこぼしはそのまま納め過ぎ。LHDN控除ページ参照。
8. SST閾値を超えても登録しない
SST登録義務は課税物品売上RM500,000または課税サービスRM500,000〜RM1.5百万(サービス種別による。2024年拡大でデジタル・経営系サービスが多く対象化)。大型案件で気付かぬうちに閾値を超えるフリーランスが多く、遅延登録ペナルティとサービス税法第26条に基づく未払出力税の遅延ペナルティは厳しい。四半期末ごとに直近12カ月の売上を確認し、閾値RM50,000以内に近づいたら登録準備を。
9. 個人と事業の銀行口座を混在
監査で最も負ける原因。所得税法第82条で7年の記録保存が必要なとき、混在口座は監査人にとって「不明な入金=事業所得」の宝庫です。SME口座(Maybank、CIMB、Public Bank等)を別途開設し、事業関連はそこに集中。長年混在していたなら今日口座を開設し、2026年1月以降を境にクリーン化しましょう。
10. 7年保存ルールを忘れる
所得税法第82条により、課税年度終了から7年の記録保存義務。紙レシートは色あせ、クラウドは料金未払で消えます。受領即スキャンして日付付き・バックアップ済みフォルダに保存することを「システム化」しましょう。LHDN Public Rulingsに詳細枠組みあり。
11. 在宅オフィス経費を正しく計上できていない
在宅勤務なら家賃、電気、ネット、ブロードバンドの一部が第33条で経費化可能ですが、按分式は厳密——「専用作業面積÷総床面積」。「一日中ここで働いているから家賃100%」は不可。簡単な間取り図を証拠保存。在宅オフィス控除ガイド参照。
12. Gig Workers Act 2025 / SESSSの計上漏れ
2025年以降、ライドシェア・配達・物流のプラットフォームギグワーカーはGig Workers Act 2025の下、SOCSO経由でSESSS(自営業者社会保障制度)に加入。プラットフォームが源泉徴収・送金します。SESSS拠出のForm B計上を忘れると控除を取り損ねます。Gig Workers ActガイドとSOCSO/PERKESOを参照。
おまけ:地味だが効く5つのミス
- 課税年度の取り違え:YA2025のForm Bは2026年に提出。
- 非課税所得も記載要:非課税ファンド配当などは記録のため申告書に反映。
- 提出済みForm Bの控えを保存しない:受領PDFをDLし7年保管。
- 住所・口座更新を忘れる:解約済み口座への還付は弾かれます。
- CP500暫定納税の遅延:遅延加算金が静かに膨らみます。
Denpyoが上位3つのミスを防ぐ
結局のところ、12のミスは2つの習慣に集約されます:収支を漏れなく記録、領収書を7年保存。Denpyoはこれを自動化。写真1枚で店舗・日付・RM金額・SST内訳を抽出し、課税年度ごとに整理します。経費控除チェッカーでForm B提出前に控除可否を判定、節税シミュレーターで課税所得削減効果を確認。
まとめ
LHDN監査の引き金は予測可能——プラットフォーム所得の未申告、私的経費の混入、遅延申告、SST登録漏れ。どれも「書類管理」の問題です。今すぐシステム化(別口座・月次照合・自動レシート取込)すれば、7月15日の期限は10分のレビューで終わります。


